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カンガエルーレポート
古代体験教室「ガラス勾玉を作ろう」
2018年8月22日水曜日、松山市考古館で古代体験教室「ガラス勾玉を作ろう」が行われ、13名の子どもが参加しました。
古代体験教室は、松山市の遺跡や歴史に関心を深めてもらおうと小学生以上を対象に開催されています。今回は“鋳込み(いこみ)“という技法で、ガラス勾玉作りを体験しました。
古代の勾玉について知ろう
最初に松山市考古館の学芸員の小玉さんから、勾玉の歴史や古代の人が作っていた勾玉作りについて説明がありました。古来より勾玉には不思議な力が宿るとされ、魔除けや厄除けといった呪的な意味で身につけられ、松山で最も古い勾玉は、今から約4000~3000年前、縄文時代後期のもので、みどり色の石が材料に使われています。ガラス勾玉は日本では今から1500年ごろ前の古墳時代後期に多く作られており、当時の鋳造(ちゅうぞう)技法などについて教えてもらいました。
今回は、ガラスの粒を鋳型に盛り、火で溶かすという“鋳込み”という技法で製作します。用意していただいた鋳型に、離けい材を塗るところから体験します。
実際にガラス勾玉を作ろう
鋳型に離けい材を塗る
最初に好きな鋳型を1人2個ずつ選びました。そして鋳型に筆で離けい材を塗り、指で表面をこすり滑らかにしていきます。滑らかにすることで、勾玉の表面がつるつるになるそうです。
鋳型に鉄棒をさし、ガラス粒を入れる
次は、事前に離けい材をコーティングして乾燥させた鉄棒の先に、離けい材を付けて鋳型にさします。この鉄棒は、勾玉の穴の部分になります。そしてガラス粒を鋳型に丁寧に入れていきます。この時、下の部分には小さい粒を、上の部分にはやや大きい粒を入れること、そして盛り上がったガラス粒と鋳型の境目が見えるようにすることがポイントです。ぷっくりとした形の勾玉にするためには、鋳型にたくさんガラスの粒を積み上げるといいそうですが、なかなか難しく、みなさん苦戦していました。
青やピンクなど様々な色のガラス粒があり、またガラス粒によって透明や半透明になるものもあって、自分の好みのガラス粒を選び、鋳型にスプーンを使って入れていきます。そして筆に持ち替えて、ガラス粒をさらに盛ったり、余分なガラス粒を取り除いたりする作業は、かなり根気がいり真剣に取り組んでいました。
七輪の上に置き鋳型を温めて、観察する
屋外では、考古館のスタッフの方が、七輪の中で木炭に火をつけて準備してくれていました。早速、網に自分の鋳型を乗せて、七輪の上で鋳型を2分ほど温めていきます。そして、もう1つの七輪を上下逆さまにして蓋代わりにして被せ、穴の空いているところにレンガを乗せます。みんなで協力して、うちわで空気を送ります。この時に仰ぎ過ぎると、木炭の灰が舞い上がって勾玉についてしまうので、やさしくゆっくりと仰ぐことがポイントです。ガラスの溶ける温度は約600~650度です。3分や5分など、各々の間隔でレンガを下ろして、炎の上がり具合やガラスの粒の溶け具合を観察します。温度が高すぎるとガラスに気泡ができてしまうので、ガラスが溶け始めたら要注意です。
少しずつ冷ましていく
20~30分ほどでガラス粒が溶けて、なめらかな表面になりました。ガラス粒の色や形の変化に、うれしそうな様子です。 鋳型を徐冷箱へ移動して、手で触れるぐらいまで少しずつ冷まします。急激に冷ますと、ガラスが割れてしまうので時間をかけてゆっくりと冷まします。その間に、2個目の勾玉を温めていきます。
磨く
冷ましたガラス勾玉を、せっけん水につけて離けい材をとっていきます。まずは鉄棒をゆっくりと回しながら取り、表面についた離けい材を歯ブラシなどできれいに取り除きます。
勾玉の側面はざらざらとしているので、紙やすりや水やすりで削って磨いていきます。
できあがり
つるつるになったら、できあがりです。とても素敵な作品ができました。
講師から
公益財団法人 松山市文化・スポーツ振興財団
埋蔵文化財センター・松山市考古館
学芸員 小玉 亜紀子さん
簡単に手に入る時代だからこそ、ものづくりには様々な魅力があります。便利な道具もない古代に、ある物を使って作り出していくという古代の人の知恵を、体験を通して知り、自分たちの生活のヒントに、そして未来につなげていってほしいと思っています。
ガラス勾玉作りは、小さいお子さんには少し難しいところもあり、簡単には作れないものです。だからこそ愛着が生まれ、なかなか得ることのできない発見や気づき・想いを味わうことができます。また火を使う作業などは、保護者しかできませんので、親との共同作業で作ることが、思い出づくりにもなります。
古代の人のロマンや知恵を、様々なイベントを通し、体験して学んでいただきたいです。
参加者の声
~子どもの感想~
- 勾玉作りは火を使うので、熱かったです。
- 焼くのも楽しく、うちわで一生懸命がんばりました。1つだけきれいにできたけど、2つ目は型からはずれなくなったので、袋に入れて持って帰りました。楽しかったので、また来たいです。
- ガラス勾玉作りは、楽しかったです。水色は、ほぼきれいにできていました。火をおこすのは大変だったけど、2度目はすぐに火をおこすことができたので、楽しかったです。
- 最初は「勾玉なんてできるかな。」と思ったけど、勾玉ができて良かったです。最後の仕上げで割れてしまったけど、いい体験ができて良かったです。また来たいです。
- 初めて勾玉を作って、良かったです。勾玉に穴が入って「どうしようかな。」と思いましたが、お母さんが「きれいだよ。」と言ってくれたのでうれしかったです。難しかったけど、また作りたいです。
- 意外に1回目上手にできたので、うれしかったです。できあがりの色がすきとおって、きれいでした。古代の人は「すごい。」と思いました。また作りたいです。
- 家では勾玉を作ることができないので、作れてよかったです。手作りなので、お出かけなどの時にネックレスとしてかけていけられるので良かったです。きれいにできていて、自分の個性があって作れたので思い出になりました。工作が好きなので、楽しかったです。
- 難しくて、でもおもしろく楽しかったです。またやりたいです。
- ガラスの石を盛るのが、難しかったです。またガラスによって、火の通り方が違うことがわかりました。貴重な体験ができて良かったです。
- 初めてだったので、少し緊張したけど楽しかったです。また来年も作りに来たいです。
~保護者の感想~
- 親子でのイベントなので、子どもと楽しい時間を共有できて良かったです。
- 古代のやり方で体験できて、とても興味深かったです。子どもたちも普段できないことができて、楽しめていたので良かったです。
- 子どもがチラシを持ち帰り、「参加したい!」と目をキラキラさせて言いました。当日は、自分でガラスの色を選び、こだわって作っていました。「もっともっとしたい。」という気持ちでいたようです。また参加させたいと思います。
- 火の入れ方、時間などでも全然違う勾玉ができました。割れたりもしたけれど、それはそれで楽しく家ではできない良い体験ができました。子どももすごく興味津々で楽しんでいました。