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カンガエルーレポート
古代体験教室「染物体験~あかね染め~」
2024年8月8日木曜日、松山市考古館で古代体験教室「染物体験~あかね染め~」が行われました。植物の茜(あかね)でハンカチや和紙を染めて、オリジナルの染物に仕上げます。
当日は午前と午後の部の2回開催され、午前の部には38名が参加。親子で古代に思いを馳せながら、自分だけの染物づくりを楽しんでいました。
世界でひとつだけの染物づくり
茜という植物の根を使って染める茜染めは、日本に古くから伝わっている草木染めのひとつです。本来は煮ながら染める「煮染め」で行いますが、今回は事前に茜を煮出した染色液につけて染めていきます。
まずは、ハンカチと和紙を折り畳み、割り箸で挟んだり、輪ゴムをきつめにくくったりなどして、染色液が染み込まない部分を作ります。この部分が模様になります。折り方や割り箸を挟む箇所、間隔などは自由で、参加者は思い思いに作業を進めました。
次に、ハンカチと和紙を水につけて空気を抜き、茜の染色液につけて約15分間しっかりと揉み込みます。割り箸や輪ゴムをつけた境目あたりをよく揉み込むと、くっきりと模様が出るそうです。ゴム手袋をして温かい染色液の中で揉み込む作業は少し大変そうでしたが、参加者たちはじんわりと汗をかきながら、一生懸命、作業していました。
個性豊かな作品が完成!
染色作業後は、媒染液につけて色を定着させます。しばらく媒染液の中で揉み込んだら、くくっている輪ゴムをハサミで切っていきます。ハンカチや和紙を切らないように丁寧に行います。輪ゴムや割り箸をすべて外し、ゆっくりと広げると、ハート形や四角い形などいろいろな模様の染物ができていました。
白とピンク色がくっきりと分かれているもの、色の境目があまりなくぼやけた雰囲気のものなど、どの作品もそれぞれに味があり、個性的に仕上がっていました。仕上げに水洗いをし、新聞紙に挟んで水気をとったら完成です。和紙の染物は、うちわやトレイに貼り付けるなどして楽しめるということです。
最後は、きれいな茜色に染まったハンカチを持って記念撮影。参加者たちは染物体験を満喫した様子で、笑顔を見せていました。
参加者インタビュー
- ハートの形ができました。輪ゴムでくくったりする作業が楽しかったです。(小学1年生)
- 染色液につけて揉み込む作業が楽しかったです。(小学4年生)
- 学校で配布された案内を見て、夏休みに何か体験させてあげたいと思い、参加しました。とても楽しかったです。思ったような形にはならなかったのですが、それもおもしろかったです。(小学1年生と4年生のお母さん)
- 三重丸の形ができました。できあがった作品を見てうれしかったです。(小学1年生)
- 思ったような模様がしっかりと出ていました。すごく貴重な体験ができて楽しかったです。考古館の方に感謝したいです。(高校1年生)
- 考古館に一度来てみたかったのと、夏休みの思い出に残る体験イベントを探していたところ、小学校から持ち帰ったパンフレットに掲載されていて参加しました。染物体験は初めてでした。植物からどうして赤く染まるのかなと考えながら作業していました。染色液が温かくて、すごくよい香りがしていたので、アロマのような感覚で癒されました。子どもたちも真剣に取り組んでいました。(小学1年生と高校1年生のお母さん)
主催者から
松山市考古館
学芸員 小玉 亜紀子さん
あかね染めは、吉野ケ里遺跡や邪馬台国の卑弥呼の約2000年前の弥生時代から存在していたことが科学分析でわかっており、日本で古代から伝わっている染物の技法です。古いものや古代のことに楽しみながら興味を持ってもらいたいという思いから、古代体験教室として5年ぶりに染物体験を開催しました。
よいものを作るためには大変な工程も必要だったのですが、がんばった分だけ達成感もあったのではないでしょうか。子どもたちの笑顔が見られたことが、私たちのエネルギーになりました。夏休みの自由研究などに役立ててもらえるとうれしいです。
秋には中学生以上を対象とした考古学教室を予定しています。さまざまな世代の方に足を運んでもらえるように、今後もイベントを開催していきたいと思います。