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カンガエルーレポート

サマー!エコキッズスクール「プラスチックごみの行方」

2020年8月19日水曜日、松山総合公園で「サマー!エコキッズスクール『プラスチックごみの行方~分解性プラスチックでペンダント作り~』」が行われました。「サマー!エコキッズスクール」の講座の一つで、児童14名が参加しました。自然由来プラスチックのペンダント作りを通して、私たちの生活に身近なプラスチックとの付き合い方について学びました。

環境にやさしいプラスチックとは

まず、松山市エコリーダーの立石康さんから、プラスチックごみ問題についてのお話がありました。最初に一枚の写真が映し出されました。それは、海岸に漂着した大量のプラスチックごみです。このプラスチックごみは、海洋汚染や海洋生物の生態系に悪影響を及ぼすこと、また、細かな粒子となったプラスチック(マイクロプラスチック)が海洋生物の体内に蓄積され、それを口にする人間の体にも影響を与える可能性があり問題視されていることを教えてもらいました。

写真を見たあと、立石さんから実験の説明がありました。牛乳とレモン汁(酢)でペンダントを作る実験です。ごみ問題とペンダント作り、どのような関係があるのでしょうか?

実は、牛乳とレモン汁(酢)でプラスチックが作れます。カゼインプラスチックといい、石油を原料として作る一般的なプラスチックとは違います。微生物のエサになる物質を含むため、地面に埋めることで分解できるという特徴があります。このようなプラスチックは生分解性プラスチックと呼ばれ、環境にやさしいプラスチックとして、近年注目されています。

ペンダント作りの実験

いよいよ、実験が始まりました。コップに沸騰した牛乳とレモン汁(酢)を入れてしばらくかき混ぜていると、白いどろどろとした物質ができてきました。実はこの白い物質が、生分解性プラスチック(カゼインプラスチック)。このカゼインプラスチックは、水に溶けないたんぱく質で、牛乳の中にとても小さい粒で分散している状態ですが、強い酸を加えることでカゼインの粒同士がくっついて、かたまりになるという性質があります。今回、この白い物質を集めて、ペンダントを作ります。

別のコップに紙フィルターをセットして流し込み、白い物質と、下に落ちるホエーという液体に分けます。紙フィルターに残った白い物質の水分をよく絞り、型に入れて手で押さえます。型からそっと抜き、電子レンジに入れて水分をとばします。固まったら絵を描いたり、ひもを通す穴を開けたりすればペンダントの完成です。植木鉢に入れておくと、微生物が分解し、肥料にもなるそうです。

プラスチックとどう付き合うか

生分解性プラスチックのペンダントを作ったあと、2020年7月から有料化されたレジ袋についてお話がありました。生分解性プラスチックを使用したレジ袋には、植物由来の原料が配合されており、レジ袋にマークが表示されています。身近なレジ袋を例に出し、同じプラスチックでも自然に還るプラスチックを選んだり、一回きりではなく繰り返し使う工夫をしたりするなど、参加者たちは講座を通して、プラスチックとの付き合い方を学んでいました。

講師から

立石康さん

松山市エコリーダー
立石康さん

プラスチックごみによる海洋汚染は、地球全体のこととして考えていかなければならない問題です。将来、子どもたちが大きくなった頃に影響が出てくると言われています。そのことを少しでも早く気付かせて、考えさせて、自分の身の回りから変えていく、それが新しい環境問題への糸口ではないかと考えています。子どもたちには本質的なことを学んでもらいたいです。すぐには分からないかもしれませんが、一つのキーが出てきたときに「これはこのことだったんだ」とつながってくれればいいと思っています。環境そのものが変わっている新しい時代をどう生きていくか、親世代と子どもたちが一緒に学んでいってほしいです。

主催者から

網矢宏明さん

松山市 環境部
環境モデル都市推進課 副主幹
網矢宏明さん

毎年、夏休み期間中に松山市内の小学校に通学している4年生から6年生を対象に「サマー!エコキッズスクール」を開催しています。松山市エコリーダーや企業・団体の方などが講師となり、実験や工作、施設の見学などを行い、環境について学ぶ体験型の教室です。今年度は全15回、開講しました。

松山市は環境省が実施している「プラスチック・スマート」キャンペーンに参加しています。この取組は、便利なプラスチックと賢く付き合おうというものです。1回使い切りのもったいないプラスチックの使い方はしないで、例えばマイバックを使用する、不必要なプラスチックを使わないなど、それぞれの立場でできる取り組みを呼びかけています。
今回、立石先生にお話しいただきましたように、プラスチックは、石油由来の素材だけではなく、自然由来の素材でもプラスチックの代用になります。この機会に、自分自身が何を選択するか考えてもらうきっかけになればと思います。

参加者インタビュー

  • 今日の講習で「生分解性プラスチック」というプラスチックや、現在の環境状態について学ぶことができました。また、生分解性プラスチックの活用の仕方を学ぶこともできました。これからは生分解性プラスチックを作ったり、エコの配慮をしている店を利用するなど、将来、困らないよう、エコ活動を積極的にしていきたいと思いました。
  • 生分解性プラスチックのペンダント作りが、家でも簡単にできそうだったので、家でも作って飾りたいと思いました。生分解性プラスチックだと、微生物が食べて分解されることを初めて知りました。
  • お酢を入れ忘れるなどのハプニングもありましたが、思い出や作品も作れたので楽しかったです。次はもっときれいに作りたいです。
  • 先生から大切なことをたくさん聞けて、とても勉強になりました。地球温暖化の原因にもなっているので、コツコツと私自身も工夫して、レジ袋の使用を減らしていこうと思います。
  • プラスチックのペンダントを作ってみて、作ったペンダントは環境にやさしく、植木鉢のところに置いておくと、なくなるということが分かりました。とても楽しかったです。
  • 昨年も参加して、海のごみのことでしたが、それがこの実験につながったのでよかったです。知らないこともいっぱいあったので、今日の実験をしてよかったなと思いました。
  • プラスチックの大事なことを学べてよかったです。
  • プラスチックを今後、どう使うかを改めて考えたいです。
  • こんな種類のプラスチックがあるのだと驚きでした。プラスチックとは思えない見た目でした。
  • とてもおもしろく授業をしてくれて楽しかったです。詳しくてしっかりとした授業内容でした。
  • 今まで、生分解性プラスチックを使用したレジ袋の表示はあまり見たことがありませんでした。これからは、プラスチックを使ったものなどは、あまり使わないようにしたいです。
  • 私は物づくりが好きですが、牛乳から作るのは初めてで、楽しかったです。牛乳から作るプラスチックは、初めて見ました。とてもすごいと思いました。
  • レジ袋に値段がつくなんて、すごいなと思いました。実験は楽しかったです。
  • プラスチックのことなどをよく学習できました。あと、レジ袋に木や紙が入っていると知ってびっくりしました。
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