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カンガエルーレポート
サマー!エコキッズスクール「個性いっぱい!小さな美術館!」
2022年8月5日金曜日、まつやまRe・再来館でサマー!エコキッズスクール「個性いっぱい!小さな美術館!~海岸の漂着ごみを使ってアートの世界へ~」が行われました。参加者たちは、講師の松山北高校愛顔グローカル部の生徒の皆さんと一緒に、海岸に流れつく漂着ごみの問題について勉強したり、漂着ごみを使ったアート作品を創作したりしながら楽しく学びました。
漂着ごみの現状を知ろう
松山沖の島々の海岸清掃活動を行っている松山北高校愛顔グローカル部の皆さん。まずは高校生たちが活動を通じて体感した海のごみ問題について、クイズなどを交えながらスライドで分かりやすく説明しました。
漂着ごみの多くはペットボトルや菓子袋などの家庭ごみで、ポイ捨てされたり、外に置いたごみが風や雨によって川に入り、海に流れ出たりしたものだそうです。また、瀬戸内海の島々の漂着ごみには、魚の養殖で使用する発泡スチロールや牡蠣養殖資材のパイプなどが多いという特徴があります。これらのプラスチックが小さくなったものを「マイクロプラスチック」と呼び、海洋生物に悪影響を及ぼすことから世界中で問題になっています。また、さらに小さくなった「ナノマイクロプラスチック」は水の中や空気中に漂っており、人体への影響も心配されています。このまま、ごみが流れ続けると2050年には海ごみの量が魚の量を超えるそうです。
海ごみを減らすためには、リフューズ(いらないモノをもらわない)、リデュース(ごみそのものを減らす)、リユース(使えるモノはまだ使う)、リペア(いたんだモノは直して使う)、リサイクル(資源としてもう一度利用する)の「5R」をみんなで意識して実践することが大切だということを学びました。
漂着ごみをアート作品に!
後半は漂着ごみを使って、1人1つずつ、そしてグループごとの作品づくりを行いました。材料は、ペットボトルのキャップやガラスの破片(シーグラス)、牡蠣養殖の資材など、高校生たちが海岸の清掃活動で拾った漂着ごみです。
個人の作品づくりでは、紙の上に漂着ごみを自由に配置して作っていきました。
完成後は作品をスクリーンに映し、自分自身で工夫したところなどを発表しました。足の素材をたくさん使って表現した「タコ」、甲羅をシーグラスで表現した「ウミガメ」、大小2種類の花火を工夫して描いた「海上花火」など、どれも個性あふれる作品となりました。
またグループに分かれての作品づくりでは、パートごとに役割を決め、個人個人で作業時間を分けて、海をテーマにした大きな作品を作りました。完成した3つの作品は9月以降に興居島の由良港と泊港に飾られ、島で暮らす人や島を訪れる人への啓発アート作品として展示されます。
講師から
松山北高校愛顔グローカル部の皆さん
私たちは、興居島など松山沖のいろいろな島で、海岸の清掃活動を行っています。海岸に漂着するごみを初めて見た時は衝撃的でした。ごみの量は海岸によって違いますが、1回で拾うごみの量は45リットルごみ袋で平均100袋、多い時は217袋にもなりました。作業を終えるときれいになりますが、2ヵ月ほど経つと元通りになっているのが現状です。みんなで協力してごみを減らすことが大事だと思います。
今回の企画は、子どもたちに分かりやすく伝えたいと思い、スライドなども丁寧に作りました。漂着ごみのアート作品は、想像を遥かに超えた仕上がりで、参加者の皆さんも楽しんでいたので私たちも達成感がありました。
このような活動は続けないと意味がありません。今日の講座がきっかけとなり、子どもたちも清掃活動に参加してくれるといいなと思います。
主催者から
松山市 環境モデル都市推進課
石丸 梨香さん
毎年、夏休み期間中に松山市内の小学校に通学している4年生から6年生を対象に「サマー!エコキッズスクール」を開催しています。松山市エコリーダーや企業、団体の方などが講師となり、実験や工作、施設の見学などを行い、環境について学ぶ体験型の教室です。今年度は16講座、開講しました。
松山北高校愛顔グローカル部の皆さんには、昨年度もボランティアスタッフとして本イベントに携わっていただきました。興居島など島しょ部でのボランティア清掃も精力的に行い、海ごみ問題の解決に向けて日々活動してくれています。
今回は、現在世界中で問題となっている「海ごみ」についての講座でした。実際に海ごみの現状を知っている北高生がお話をしてくれることで、子どもたちの興味や理解もより深まったのではないかと思います。海ごみ問題について改めて考えるきっかけとなったようで、皆さんいろいろな思いを込めて作品を作ってくれました。
海ごみのほとんどは、私たちの住む街から川などを伝って流れ出ているものです。北高生のように島しょ部での大規模な清掃活動は難しいかもしれませんが、皆さんの身近に落ちているごみを見つけたら、海の生きものたちのことを考えながらぜひ拾ってあげてください。
参加者インタビュー
- 漂着ごみについて、実際に知ることができました。チームで大きな作品を仕上げるのが楽しかったです。高校生のお姉さんたちがクイズを出してくれたり、実際に体験を話してくれたりして、子どもも楽しそうに学習に取り組むことができました。漂着ごみを使ってのアートもすごく楽しかったみたいです。お姉さんたちがやさしくサポートしてくれて素敵な作品ができました。この体験をぜひ、自由研究につなげていきたいと思います。
- 海のごみがこれからなくなるよう、回収のボランティアに参加したり、海洋プラスチックの影響について考えたりしていかなければならないことを学びました。グループでごみを使ってアート作品を作ったことが楽しかったです。いろいろな意見が出て、他の参加者の感性が面白かったです。ごみをアートにできるかな?と不安でしたが、さまざまな素材を準備してもらい楽しめました。楽しく海洋ごみについて学べました。
- 海について学ぶことができました。あと何年かするとごみが魚の量を越えてしまうということが印象に残りました。みんなで作品を作ったことが楽しかったです。自然が好きなので、海についていろいろと学べてよかったです。
- ゴミについて改めて考えさせられました。みんなで作った大きな作品が面白かったです。海洋ごみを使ってこんなに楽しい素敵なアートができて、とてもよい経験になりました。
- ごみが増えていずれ魚より多くなってしまうことや、ひとつのペットボトルでも、朽ちればマイクロプラスチックとして海中に広がってしまうことが分かりました。みんなでひとつの作品を作れたのがよかったです。高校生の人たちが一生懸命集めた海のごみがすごかったです。形をよく見て組み合わせてウミガメを作ることができました。(お子さん)
高校生たちがまとめたスライドが分かりやすかったです。特に45リットルごみ袋100個分集めても、1~2ヵ月でもとに戻ってしまうとは衝撃でした。高校生たちが周りをよく見てテキパキ動く姿も、とても素敵でした。(お母さん)